「家族にも勧めたい」と思ったSMILE Pro。でも、全員に勧める訳ではありません。
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- 2026.10.09
SMILE Proについて、話しておきたいこと|導入を決めた理由と、治療を選ぶときの判断

「先生、ご自身が受けるなら、どの近視矯正手術を選びますか?」そう聞かれたら、私の答えはかなりはっきりしています。
もし自分が若くて近視があり、複数の手術が無理なく適応になるなら、私はSMILE Proを選ぶと思います。家族や親しい友人から相談されても、同じように考えます。ただ、実際の診察では「あなたには別の方法がいいと思います」とお伝えすることもあります。手術そのものを勧めないこともあります。
矛盾しているように聞こえるかもしれません。でも私の中では、つながっています。家族に勧めたいと思う手術だからこそ、「その目に合っているか」を省略してはいけないと考えているからです。
レーシックもICLもある。それでも導入した理由
佐藤眼科では、これまでもレーシックやICLによる近視矯正を行ってきました。SMILE Proがなければ、近視を矯正する方法がなかったわけではありません。それでも、新たに導入することにしました。
SMILE Proは、角膜の中にレーザーで「レンチクル」という薄いレンズ状の組織を作り、小さな切開から取り出す手術です。角膜の形を変えることで、近視や近視性乱視を矯正します。レーシックのように角膜にフラップというふたを作らず、ICLのように眼内へレンズを入れる方法でもありません。

私は、特にこの二つの特徴を評価しています。もちろん、ICLのように眼内にレンズを入れないからリスクがない、ということではありません。角膜の組織を取り出す手術なので、手術前の状態に戻すことはできません。それでも、条件が合う方には、私自身が選びたいと思える方法です。導入には大きな費用もかかります。ただ、自分が良いと考える選択肢を、熊本の患者さんにも提供したい。レーシックやICLに加えて、もう一つ選べるようにしたい。それが、導入を決めた理由です。
論文を読むだけでなく、実際の現場を見に行きました

SMILEについては、以前から学会や論文、メーカーの情報を通じて関心を持っていました。SMILE手術そのものは2010年頃から始まり、今までに1,000万眼以上行われていますが、日本ではSMILEが2023年に承認され、SMILE Proに用いるVISUMAX 800は2024年7月に薬事承認を受けています。日本での承認時期と、術式そのものが生まれた時期は別です。
私は、日本で認可された後も少し待っていたところもありました。従来のSMILEについて、乱視の向きや治療の中心をどう合わせるかなど、気になっていた部分があったからです。SMILE Proでは、治療の中心や眼球の回旋を合わせるための支援機能が加わりました。近視治療のレーザー照射も、メーカーの設定条件では10秒以内とされています。ただし、これは手術全体の時間ではなく、レンチクルを作る照射時間です。こうした進歩は、資料で確認できます。でも、導入を決める前に、実際に使っている先生の話も聞いておきたいと思いました。
そこで、国内で導入している施設を2〜3か所見学しました。現場を見て、手術をしている先生方から、使い始めてからの経験や診療での手応えを直接伺いました。
複数の先生から良い評価を聞けたことは、大きな後押しになりました。もちろん、見学先で評価が良かったから、すべての患者さんに良い結果が出るという意味ではありません。論文や学会の情報を確認することと、実際の現場を見に行くこと。その両方を大切にしたい。今回の導入も、そのようにして決めました。
同じ「−6Dの近視」でも、私の答えは変わります
では、実際に誰に勧めるのか。
例えば、近視が−3D前後で、角膜の厚さや形、乱視などに問題がなければ、私はまずSMILE Proを考えます。−6D前後になると、もう少し慎重に見ます。角膜にどれだけ余裕があるか。乱視はどれくらいか。瞳孔の大きさや、治療する範囲はどうか。同じ−6Dでも、目の条件は一人ひとり違います。そして−8Dくらいの強い近視なら、私は基本的にICLなどの眼内レンズを中心に検討します。
ここで大切なのは、これらは私が術式を選ぶ際の目安であって、度数だけで決まる共通のルールではないということです。−6DがSMILE Proの一律の上限という意味でもありません。実際の承認範囲と、個々の患者さんに勧めるかどうかは、分けて考える必要があります。
「機械の設定範囲に入っているから、やりましょう」ではなく、「この目に、その方法を選ぶのがよいだろうか」と考えたいのです。
角膜の形や厚さ、涙の状態、眼圧、眼底などを調べるのも、そのためです。日本眼科学会のガイドラインでも、こうした術前検査によって適応を慎重に評価することが求められています。
SMILE Proを導入したからといって、無理にSMILE Proで対応しません。
ただし、SMILE ProができなければICLなら必ずできる、というわけでもありません。ICLにも、目の中の広さや角膜内皮の状態など、確認すべき条件があります。一つの手術に患者さんを合わせるのではなく、患者さんの目に合う手術を選ぶ。複数の方法を用意しておきたいのは、そのためです。
40代の方には、手術の名前より先に話すことがあります
40代の方から、「SMILE ProとICLなら、どちらがいいですか?」と聞かれたとき、私はまず老眼の話をします。
SMILE Proでもレーシックでも、通常の近視・乱視用ICLでも、若い頃のピント調節力を取り戻す手術ではありません。遠くを見やすくすると、近くを見るときには老眼鏡が必要になることがあります。近視の方がメガネを外すと手元を見やすかった、その見え方が変わることもあります。
だから、「遠くが見えるようになります」という説明だけで決めてほしくありません。運転が多いのか。パソコンを使うのか。読書や細かな作業を大切にしているのか。私は、その方がどんな生活をしたいのかまで聞いてから考えます。手術ができると分かっても、期待している見え方と、実際に目指せる見え方が違うなら、そのまま話を進めることはできません。

家族に勧めるなら、不都合な話もします
「家族に勧めたい」と言うと、良いところだけを強く信じているように聞こえるかもしれません。でも、私が家族に説明するとしても、メリットだけでは終わりません。SMILE Proにも、乾燥感、光のにじみやまぶしさ、近視や乱視の残り、感染や炎症などの可能性があります。追加の治療が必要になったり、視力に影響する合併症が起きたりすることもあります。そうした話を省いて、「自分が良いと思うから受けたら」とは言いたくありません。
良い点も、注意点も、費用も説明する。そのうえで、今のメガネやコンタクトで何に困っているのか、手術によって何を変えたいのかを聞く。私は、その順番を大切にしています。
お勧めはします。でも、決めるのは患者さんです
私は「どれでもいいですよ」と、判断をすべて患者さんに任せるつもりはありません。検査結果を見て、良いと考える方法があれば、理由を添えてお勧めします。一方で、角膜の組織を取り出すことに抵抗がある方もいれば、眼内にレンズを入れることに抵抗がある方もいます。医学的に選べる範囲で、その気持ちも大切にしたいと思っています。そして、手術を受けないという選択もあります。
今の生活で困っていない。費用をかけてまで裸眼にしたいとは思わない。説明を聞いても、まだ怖い。
それなら、急いで決めなくて構いません。相談に来たから、検査を受けたからといって、手術を受ける必要はありません。「家族なら勧めたい」というのは、家族なら必ず受けさせたい、という意味ではないのです。「家族なら勧めたい」と思える治療であること。
そして、家族であっても合わなければ勧めないこと。私は、その両方を大切にしたいと思っています。
上記バナーから佐藤眼科公式HP「SMILE Pro」診療案内へ移動します。
手術を受けると決めていない段階でも、ご相談ください。
- 参考資料
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本文の医学的な説明は、以下の資料を参考にしています。院長の経験・診療方針と、研究や公的資料に基づく情報を区別して記載しています。
- ZEISS Japan|VISUMAX 800 公式製品情報 近視治療のレンチクル作成時間、センタリング・眼球回旋の調整を支援する機能。10秒以内はメーカー所定の設定条件での値。
- 日本眼科学会|屈折矯正手術のガイドライン(第8版・2024年) 適応、術前検査、老眼に関する説明、術後の経過観察。SMILEの国内承認時期についても記載。
- ZEISS Japan|VISUMAX 800 国内承認の発表 2024年7月4日の国内薬事承認について。
- PMDA|フェムトセカンドレーザ VISUMAX 600/800 添付文書 2024年10月 第1版。承認番号30600BZX00136000。使用目的、注意事項、不具合・有害事象。
- 佐藤眼科グループ|SMILE Pro 公式診療案内 治療内容・手術料金・予約と相談の窓口。料金は2026年10月3日に確認。
佐藤智樹
