疾患と治療

ICL・IPCL・レーシック

眼内コンタクトレンズ(ICL・IPCL)

眼内コンタクトレンズ(ICL・IPCL)は、眼の表面である角膜に非常に小さな切開創を作成し、そこからレンズを眼内の虹彩と水晶体の間に移植します。コンタクトレンズのように日常生活の中で外れることや、ズレたりすることもありません。 その為、毎日のつけ外しやケアも不要です。 ICL・IPCLともに眼の中で異物として認識されにくい特性があります。
また、角膜を削るレーシックに比べて次のような特徴があります。

  • レーシックのように角膜を削らないため、術後の見え方が良い。
  • レーシックに比べ切開範囲が狭いため、ドライアイが起こりにくい。
  • レーシックができない強度近視や乱視、角膜の薄い症例にも対応できる。
  • もし手術に満足しなかった場合、元に戻すことや修正することができる。
  • レーシックに比べると費用が高い。

ICLとは

ICL(Implantable Collamer Lens) はSTAAR 社によって開発され、日本では1997年に導入され、2010年に有効性と安全性から厚生労働省に認可されています。全世界では200万眼以上の実績があります。ICLはHEMAとコラーゲンの共重合体素材コラマー(Collamer )で作られており、タンパク質などの粒子が沈着せずに長期にわたって眼内で安定する非常に生体適合性の良い素材となっています。

IPCLとは

IPCL(Implantable Phakic Contact Lens)はEyeOL社によって開発され、日本では2015年より導入されています。全世界で10万眼以上の実績を持ち、有効性と安全性が証明されている比較的新しいレンズですが、2023年9月現在では国内未承認レンズです。IPCLはハイブリット親水性アクリルで作られています。ハイブリット素材を採用したことにより、タンパク質などの粒子が付着しにくく、見え方の質が高いことも証明されています。またIPCLは度数制作範囲が広く、-3D未満の軽度近視に対してもIPCLにて対応できます。また当院では、IPCLにて老視矯正もできるようになりました。お気軽にご相談ください。


  • (老視矯正用IPCL)

比較表

ICL・IPCL手術について

ICL・IPCLともに手術方法は同じです。

  • 散瞳剤点眼で瞳孔を開き、点眼麻酔をおこなったのち、黒目と白目の境目に数ミリの創口を作成します。
    *痛みを感じやすい患者様には必要に応じて「低濃度笑気ガス麻酔」も使用できます。痛みはほとんどありません。
  • 創口から小さく折りたたんだICLもしくはIPCLを挿入して、虹彩と水晶体の間に固定します。
  • 切開創は糸で縫合することなく、創は閉じます。
  • レンズは特別な手入れをしたり取り出したりする必要はなく、半永久的に眼内で安定します。

手術までの流れ

手術をご希望されても目の状態により手術できないことがあります。手術ができるかどうかの検査を行い、手術ができるようであれば担当医師から詳しい説明を行います。手術のメリットとデメリットを良く理解して頂き、可能であればご家族の方ともよく相談し、手術を受けられるかどうか決められるのが良いでしょう。

手術は両眼行う場合30分ほどで終わります。術後は炎症のチェックなどの定期検査が必要です。

ICLの主な合併症

ハロー・グレア・光のにじみ

暗い所で光がにじんだり、光の周囲がぼんやりと見えたりすることがありますが、慣れていき日常生活に支障が出ないことがほとんどです。

ドライアイ

手術後に目がごろごろする、乾燥するなどの症状がでることがありますが、ほとんどの場合は元に戻ります。

老眼 (※概ね40才以上の場合)

遠くが見えるようになると、40才頃から「手元が見にくい」といった老眼の症状がではじめます。その場合は近用眼鏡(老眼鏡)等が必要になります。レーシック、ICL、IPCL、眼鏡、コンタクトレンズいずれであっても老眼は同様に現れます。

IPCLには老視矯正用IPCLもあり、遠くの見え方に加え手元の見え方も改善が期待できます。お気軽にご相談ください。

その他、角膜内皮細胞の減少、眼圧上昇、白内障など

目の中の手術ですので、頻度は低いですがこのような合併症が起きることがあり、場合によっては再手術が必要になります。

レーシックとは

レーシックは、角膜にエキシマレーザーを当てて角膜の形を変えることで、近視や遠視・乱視を治す治療です。2000年前後からわが国に導入され、2006年に厚生労働省の認可を受け、2008年には年間約45万件のレーシックが行われるようになりました。

しかしながら、2008年後半にある施設で起きた集団感染や、消費者庁からの注意喚起により、レーシックの有効性や安全性に疑問を持つ方が増え、2016年には約3.5万人に減っていますのが現状です。しかしながら、世界をみると、中国で年間約90万症例、アメリカで約60万症例、インドで約20万症例、ドイツで約14万症例と、アジア・ヨーロッパを問わず広く普及しており、世界的にみればレーシックがスタンダードな治療法のようです。

焦点が眼の奥にあっていないため、角膜にレーザーを当てて、眼の奥にピントがあうようにします。

手術の流れ

当院では、アルコン社の最新機種であるLENSXとカールツァイス社の最新機種であるMEL 90 EXCIMER LASER(動画)を用いたフェムトレーシックを行っています。

新しい照射プロファイル「AAA; トリプルA」を用いますので、より安全に高度かつ繊細な不正乱視の治療が可能になり、従来のレーシックに比べ術後の見え方の質がさらに向上しました。

また、角膜不正乱視が強いなどの特殊な目に対しては、角膜形状解析のデータに基づいたトポガイドを用いたカスタムフェムトレーシックにより、お一人お一人の目に合わせたカスタムメイドの治療が行えます。

(1)点眼麻酔

手術は点眼麻酔で行います。

(2)フェムトセカンドレーザーによるフラップ作製

エキシマレーザーを当てて角膜の形状を変える前に、角膜フラップといってまず角膜の表面を蓋のように切る必要があります。

作製方法には、マイクロケラトームというカンナのような器械を用いて行っている施設もありますが、当院では、アルコン社のフェムトセカンドレーザーLENSX(厚生労働省承認)を用いて行っております。フェムトセカンドレーザーとは1000兆分の1の単赤外線レーザーのことで、ほとんど熱を発しないために、組織の変性を起こすことなく、角膜フラップを正確に作製することができます。

また、LENSXは最新のプログラムを用いているため、他のフェムトセカンドレーザーに比べて手術時の眼圧上昇が少なく、約17秒という短い時間でフラップの作製ができます。

(3)フラップをめくってエキシマレーザーを当てる準備

(4)エキシマレーザー照射

カールツァイス社の最新機種であるMEL 90 EXCIMER LASER(動画)を用いて行います。

エキシマレーザーは、生体組織に熱変性(やけど)をほとんど起こさずに正確に切開や切除ができる、特殊な高エネルギーのレーザーです。MEL 90は、世界最速のレーザーであるばかりではなく、安全性と正確性をかねそろえています。1Dあたりにかかる時間は約1.3秒ですので、5Dの中等度近視でもわずか6.5秒で治療できます。

高速アイトラッキングシステム
エキシマレーザーMEL 90は、瞳孔中心を追尾する1050Hzの高速アイトラッキングシステムが導入されているため、手術中に眼が動いても、レーザーの照射ズレがありません。手術中に眼を動かしたらダメ、というストレスを感じることなく手術を受けることができます。 ・新しい照射プロファイル「AAA; トリプルA」 従来のASAやTSAプログラムに比べて、より安全に高度勝つ繊細な不正乱視の治療が可能になり、術後の見え方の室がさらに向上しました。また、角膜の切除量も少なったため、より少ない切除量でより安全に治療が可能になりました。
新しい照射プロファイル「AAA; トリプルA」
従来のASAやTSAプログラムに比べて、より安全に高度勝つ繊細な不正乱視の治療が可能になり、術後の見え方の室がさらに向上しました。また、角膜の切除量も少なったため、より少ない切除量でより安全に治療が可能になりました。

(5)フラップを戻して終了

エキシマレーザーによる治療が終了したら、めくった角膜フラップを元の位置に戻して手術は終了です。手術後はごろごろするなどの異物感がありますが、視力も手術直後より回復します。

レーシックの安全性と有効性

2015年に日本でのレーシックを受けた15,000眼を調べて、2017年に発表された論文(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28034710)では、感染症は1眼も起きておらず、手術受けた眼の95%が裸眼視力1.0以上になっております。眼科手術の中でも安全性の高い手術に分類されますが、合併症が全くないわけではなく、下記の様なものが挙げられます。

レーシックの主な合併症

ドライアイ

症状には個人差がありますが、ドライアイになることがあります。通常は半年ほどで症状は改善しますが、点眼治療が必要になる患者様もいらっしゃいます。

グレア・ハロー

近視や乱視が強い方は、術後に夜間に車の対向車などのライトがにじんで見えることがあります。(詳しい症状はこちら

老眼 (※概ね40才以上の場合)

遠くが見えるようになると、40才頃から「手元が見にくい」といった老眼の症状がではじめます。その場合は近用眼鏡(老眼鏡)等が必要になります。

再手術

細心の注意を払い治療を行いますが、何らかの原因で数%の患者様に、予想している術後の裸眼視力が十分にでないことがあります。その際は、追加レーシックを行うことができます。タッチアップ保証を行っておりますので、術後3年間は無料で行います。

近視の戻り

術後数年かけてやや近視になることがあります。ご希望があれば追加レーシックを行います(術後3年は無料)。

感染症

術後に細菌が感染してしまうことがごくまれにあります。最新の報告では15000眼での発生は0ですが、起きた場合は速やかに点眼・点滴治療が必要になります。

費用

ICL手術(自費診療)

ICL手術乱視矯正なし:片眼330,000円(税込)、両眼660,000円(税込)
乱視矯正あり:片眼385,000円(税込)、両眼770,000円(税込)
IPCL手術乱視矯正なし:片眼220,000円(税込)、両眼440,000円(税込)
乱視矯正あり:片眼275,000円(税込)、両眼550,000円(税込)
老視矯正用
IPCL手術
乱視矯正なし:片眼330,000円(税込)、両眼660,000円(税込)
乱視矯正あり:片眼385,000円(税込)、両眼770,000円(税込)

※お支払いは、医療ローンもご利用できます。詳細はお問い合わせください。
※術後6ヶ月間の診察は無料。術後6ヶ月以降の定期検診費用は1回の受診につき2,200円(税込)
※度数ズレや視力低下が起きた場合は、術後3年間は無料でタッチアップやレンズ入替保証あり。

レーシック(自費診療)

フェムトレーシック片眼143,000円(税込)、両眼275,000円(税込)
トポガイドを用いたカスタムフェムトレーシック片眼165,000円(税込)、両眼330,000円(税込)

※お支払いは、医療ローンもご利用できます。詳細はお問い合わせください。
※術後6ヶ月間の診察は無料。術後6ヶ月以降の定期検診費用は1回の受診につき2,200円(税込)。追加照射が必要になった場合は初回手術から3年間は無料。

タッチアップレーシック(自費診療)

白内障手術後の屈折誤差に対してレーシックによるタッチアップを行うことがあります。多焦点眼内レンズを用いて白内障手術を行う場合、患者様は眼鏡を使わずに遠くから近くまでみえるようになることをご希望なさいます。

まれですが、残念ながら目標の裸眼視力に届かない場合があり、その際はレーシックによってその原因となっている屈折誤差(近視・遠視・乱視)を治すことができます。料金は、当院で自費診療による多焦点眼内レンズ手術を受けられた患者様は無料で行っています。

当院で多焦点眼内レンズ手術を受けられた場合無料
当院で単焦点眼内レンズ手術を受けられた場合
他院で白内障手術を受けられ紹介状がある場合
片眼55,000円(税込)
他院で白内障手術を受けられ紹介状がない場合片眼110,000円(税込)

お支払い方法

  • 現金
  • 振込(先払)
  • クレジットカード
    VISA、Master、JCB、JCB(PREMO)、AMEX、Diners Club、DISCOVER、Union Payがご利用できます。手術当日にお支払いください。事前に限度額の確認をお願いいたします。
  • 医療ローンもご利用できます。詳細は受付窓口までお問い合わせください(お電話:0944-55-1100)。